2010年8月4日 週刊ダイヤモンド編集部
ソフトバンクの孫正義社長の口ぐせの一つは、「世間が“麗しき誤解”をしているうちに事を進めよ」である。皆が本当のことに気づかないうちに、という意味だ。
7月27日、日本最大手のポータルサイトのヤフー(日本法人)は、世界最大手の検索サイトの米グーグルと提携すると発表した。
端的にいうと、グーグルが最新の技術による検索エンジンと検索連動型広告配信システムをヤフーに提供する。反対に、ヤフーは、時々刻々と移り変わるネットショッピングの状況や、オークションの情報などを提供する。
ヤフーの井上雅博社長は「将来的にグーグルの検索エンジンを基に、ヤフーの付加価値をつけたほうが成長に寄与すると考えた」と自信を見せた。ヤフーの利用者にとっては、ポータル内の検索の精度が一段と上がる。
国内では、すでにNTTレゾナントの「goo」や、NECビッグローブの「BIGLOBEサーチ」などが、グーグルの検索エンジンを採用しており、そこにヤフーが加わったことで、グーグルが国内シェアの90%以上を握る。これを受けて、新聞紙上では“グーグルの寡占化”を危ぶむ報道が目立つが、事の本質はそこにはな い。
米国のヤフーは、紆余曲折のすえに自前による検索エンジンの開発を捨て、米マイクロソフトの「Bing」を採用したので、日本法人もそれに倣うものと見られていた。だが、ソフトバンクが最大株主の日本法人だけが、あえて“宿敵”であるグーグルと手を組んだのには大きな理由がある。
グーグルは、検索では世界一の存在だが、依然としてアジア域内でのプレゼンスは低い。加えて、中国政府と衝突を繰り返しているうちに、中国の「百度(バイドゥ)」に70%のシェアを取られて大きく水をあけられている。中国では、グーグルとて20%台の水準なのだ。
複数のソフトバンク関係者の話を総合すると、以下のようになる。「相対的に優先順位が下がった検索エンジンに限って、グーグルに任せる。その一方で、ヤフーはポータル上のサービス拡充に専念し、アジアの市場に打って出ると方針を切り替えた」。
というのも、すでにソフトバンクは、世界最大級のB2B(企業間商取引)サイトになったアリババ、C2C(消費者間取引)サイトのタオバオ、SNSサイトのOPIなど、中国のネット関連企業では最大手ばかりを押さえている。最近では、米国のUSTREAM(インターネット放送)にも出資した。
2015年には、世界のインターネット人口の50%をアジアが占めると予測される。現時点では、誰もはっきり口にしていないが、将来的には、グーグルとソフトバンクグループが手を組み、互いの役割を分担しながら、アジア全域での成長を実現するという“仰天のシナリオ”もありえない話ではないのである。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)
「ソフトバンクアカデミア」の入校希望者を募集開始!
ソフトバンク株式会社は、創業者である孫 正義の後継者発掘・育成を目的とした「ソフトバンクアカデミア」を開校するにあたり、本日より社外からの入校希望者の募集を開始しました。概要は以下の通りです。
1. ソフトバンクアカデミアの概要
目的 ソフトバンクグループ代表 孫 正義の後継者発掘・育成
場所 ソフトバンク株式会社 本社(東京都港区東新橋1-9-1 東京汐留ビルディング)
コース (1)グローバルCEOコース、(2)国内CEOコースの2コースを設定
内容 一定のテーマに基づく出席者のプレゼンテーションに対し、孫および他の出席者が採点やフィードバックを行うなど、後継者発掘・育成のためのプログラムを実施します。
2. 求める人物像
孫 正義の後継者を目指す人
•情報革命に対する志の高い人物
•多くの人々を惹きつけられる人物
•誇れる経験・実績を持つ人物
3. 募集要項
年齢 20歳〜50歳
募集人数 30名(予定)
登録期間 2010年7月28日(水)〜2010年8月20日(金)
応募期間 登録後〜2010年8月31日(火)
結果発表 2011年2月中旬より順次発表
入校日 2011年4月
応募方法 ソフトバンクアカデミア公式サイトよりエントリー
ソフトバンクアカデミア公式サイト
4. 公募プロセス
登録 → 応募 → 一次予選(3分プレゼンテーション) → 二次予選(5分プレゼンテーション) →
最終審査(10分プレゼンテーション、孫 正義による対面審査) → 結果発表
[注]
*エントリーされた方は、全員一次予選からプレゼンテーションを行っていただきます。テーマおよび表現方法は、自由です。
5. 入校希望者からのお問合せ先
ソフトバンクアカデミア事務局(softbank_academia@softbank.co.jp)
以上
「ソフトバンク 新30年ビジョン」
http://www.softbank.co.jp/vision/
株式会社ウィルコムに関するスポンサー契約の締結について
2010年8月2日
当社は、株式会社ウィルコム(以下、「ウィルコム」)の再生支援について、2010年3月12日付けプレスリリース「ウィルコムの再生支援に関する基本合意書の締結について」記載のとおり、XGP事業の譲受とPHS事業におけるコスト削減に対する協力について合意していました。今般、管財人からPHS事業を直接支援して欲しいとの強 い要請を受け、検討を重ねた結果、管財人からの要請を受諾し、ウィルコムのスポンサーとなることを本日開催の当社取締役会にて決定するとともに、本日付で管財人との間でスポンサー契約(以下、「本スポンサー契約」)を締結しました。
本スポンサー契約では、当社が、ウィルコムに対し事業家管財人を派遣すること、ならびにウィルコムの事業運営および更生計画(更生債権および更生担保権に対する支払総額410億円(6年間の均等分割)予定)の遂行に必要な支援を行うことを合意しています。
なお、当社がウィルコムのスポンサーに就任することによる、当社の連結業績および単体業績に与える影響は、現時点では確定していません。当社の適時開示に該当することが判明した場合、すみやかに開示します。
以上