知事の決断一定評価! 清津川流量増、具体策見えず?
東京電力湯沢発電所の水利権更新をめぐる問題で「発電のため清津川から取った水を魚野川に流すという現在の仕組みを見直す抜本策を検討する」ことで泉田裕彦知事と十日町市の関口芳史市長、南魚沼市の井口一郎市長が28日に合意した。両市の関係者は知事の決断を評価する一方、「いつ動き出すのか」「実現性はあるのか」など疑問視する声も上がった。
魚野川「減量なら農業に影響」
旧中里村長として東電に水利権の放棄を要請したことがある十日町市の山本茂穂(79)は「一歩前進だが、県にはもっと早く動いてほしかった。清津川の水は清津川に流れるべきで、どのように実現するのか注目したい」と期待する。
中魚沼漁協(同市)の長谷川克一組合長は「根本的解決に向けて県が動き出した点は評価できる」とした上で、「アユ漁が盛んな夏場に清津川への流量増加を求めているが、具体策は見えてこない」と、要求が実現しない不満を口にした。
同市の住民団体「清津川を守る会」事務局の藤ノ木信子さん(53)は「水の流れを見直す検討を知事が打ち出した点は評価できる。ただ、いつ抜本策が動き出すか分からないので流量の増加は今後も求めていく」と話した。
一方、農業用水を魚野川の水に頼る南魚沼市では、「仕組みを根本的に見直さないうちは、毎回いさかいが起きる。解決への一歩だか、今の魚野川の流量が確保できるならば、という大前提がある」(井口一郎市長)と強調する。
南魚沼土地改良区の原田勝重理事長は「現在の水の量でぎりぎりやり繰りしている状態。これ以上の減量はない」として「ダムでも造らないと解決にはならないだろうが。国の方針に逆行する上、発電所の問題もある」と実現性を疑問視する。
南魚沼市の農業、宮田隆雄さん(62)は。「後継者も少ない中、水がこれ以上減ると稲作をやめる人も出てくる」と不安がる。抜本策については「将来的にダムは必要。山が深いから水をためられるし、大きいのを造ってほしい」と訴える。
新潟日報