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農薬:栽培期間中不使用自然栽培米 南魚沼産コシヒカリ 10.13 アマゾン超え狙う「グルーポン革命」!

メイソンCEO「世界中を“ローカル”でくくり直す」

2010年10月8日 小瀧 麻理子(日経ビジネス記者)

史上最速で成長するネット企業――。

 いまや世界のネットベンチャー起業家の憧れの的となっているのが、割引クーポンの共同購入のネットサービスを手がける、米シカゴのグルーポンだ。設立から2年余りで欧州やアジアなど29カ国、世界200都市に進出を果たした。

 仕組みは単純。事前に決めた地域ごとに毎日ひとつの割引クーポンの販売を24時間以内という条件付で販売する。応募の人数に達した場合に、応募者に50%以上の割引クーポンを販売するというものだ。日本でも今年の春以降、類似の会社が40社以上も出現した。

 同社を率いるのは29歳のアンドリュー・メイソン創業者兼最高経営責任者(CEO)。まるでバスケットボール選手のような190センチという長身だが、大学の専攻は音楽。柔らかい笑顔とは対照的な熱のこもった口調で、世界中を巻き込む“グルーポン革命”について語った。

(聞き手は日経ビジネス記者=小瀧 麻理子)

―― まずはグルーポンの会社の概要を教えてください。

 メイソン 設立は2008年ですが、世界29カ国、200都市で事業を展開しています。地域では北米、南米、欧州、アジアで。これまでに数百万枚のクーポンを発行しましたかね。総額で数億ドル以上(1億ドルは83億円)の割引を実現している計算です。

 従業員は2000人。うち半分くらいが割引サービスを発掘する営業部隊です。

始まりは社会貢献ビジネス
 クーポンの対象は米国でもレストランがやはり一番多い。あとはスパ、エステ、レジャー系、ゴルフやボートクルーズなどまで、いろいろあります。

売り上げは公開していません。しかし、外部のアナリストからは今までのネットの歴史上で一番早く事業が伸びている会社だとも言われています。広告収入などは基本的にありません。

―― そもそも、どうしてこんなサービスを思いついたんですか。

 一番最初は2007年11月にネット上に作った「ポイント」というサービスが始まりです。

 これはある種、社会貢献的な取り組みで、寄付行為や何かのアクションなど、一定の人数が集まって、非営利的な取り組みを進めるプラットフォームでした。

 このサービスの中に、同志を集めてグループ購入する機能があり、それがシカゴで大ヒットしたというのがグルーポン誕生のきっかけになりました。

 大学の学部生の時には音楽を専攻していて、レコーディングスタジオで録音したりバンド活動に励んでいましたが、その一方でソフトを書いたりもしていた。卒業後もソフトウェアエンジニアリングをやっているうちに、周りの人たちがもっと頑張れと出資してくれたりもしました。


奨学金を得て大学院に入学することができ、パブリックポリシー(公共政策)を勉強することになりました。その途中にこのポイントのアイディアに投資してくれる人が現れて、大学院を辞めることになった。

客は新しい体験を求めている
 今はビジネスがどんどん拡大していますが、根本的に考えているのは、このビジネスが誰かの助けになるということを期待しています。

 アマゾンは流通に革命を起こしましたが、グルーポンはさらにローカルの活性化に結びつくところにビジネスの意義があると思っている。今までネットの恩恵を受けていなかった地域ビジネスなどに光を当て、メリットをもたらすのがグルーポンの革命です。

―― これまで提供したユニークなサービスや、地域や産業に影響を与えた例を教えてください。

創業から2カ月目に提供したサービスでとっても奇妙でユニークなのがありました。

 すべての外部からの刺激を閉ざす環境を体験できる、という触れ込みで、常温の水がたたえられた卵形のシェルがあり、真っ暗闇のその中で浮かぶ、というものでした。

 僕らは当時、冗談半分で、楽しいかな、とも思ってやってみたら、5%のユーザーがこのクーポンを購入したんです。

 客は、普通に日常にあるものじゃなくて、新しい体験を求めているんだと学びましたね。

埋もれているものを掘り起こす
 もう1つグルーポンサービスの力は、良いサービスを提供していても、埋もれているものに対して、有効なプロモーション手段になるということです。情報を掘り起こせるんです。

 1つの例がボストンにあるヘリコプターの学校です。

 ここは創業以来、なんと25年も赤字が続いていたのです。25年間の集客は5000人程度でした。ところが、グルーポンを利用したことにより、1日で2500人も集客することができた。今年、遂に初めて黒字化を果たしました。もちろん経営者もハッピーです。

 そういった地域活性化の例は山ほどあります。

―― 今や日本を含め世界中に類似のサービスを手がける会社が誕生しています。どうやって差別化しますか。

 世界中でざっと500以上、グルーポンをコピーしたサービスがあると聞いています。

 音楽の世界ならばロイヤルティ収入が入ってきそうな状況ですが、ビジネスの世界でそうはいかない。それらのサービスと競争するしかありません。

 でも、いろんな競争相手が出てきても、オリジナルは常に次の段階へと行くことができる。米アップルのiPadの類似の商品が多い中でも抜きん出ているのと同じです。

当社と他社の一番大きな違いは提供しているサービスの質です。

 さきほどお話ししたように、うちは従業員の半分の約1000人が日々、面白い案件の発掘に動いている。持ち込みにはほとんど頼りません。持ち込まれる案件8つのうち7つは断っている状態で、高いレベルを保つよう努力しています。

 最近、力を入れているのが、「パーソナライズドディール」というサービスで、地域や過去の購入履歴から分別して、新しいサービスを紹介するようにしている。グルーポンのサービス自体が進化しているんです。

 今、米国でグルーポンの競合がたくさん出てきている理由の1つには、グルーポンに掲載してもらえない店舗が他社に殺到しているということがあります。今はグルーポンは3カ月待ちの状態になっている。

 逆に言えば、グルーポン自体のキャパシティをもっと増やせば、こうした競合サービスは淘汰されていくでしょう。

東京をさらに細分化してみたい
―― この夏には日本の共同購入会社、クーポッドを買収し、日本市場への参入を決めました。

 日本市場は、グルーポンが成功したシカゴなどの都市部と同じ性質を持っています。

 大都市に人口が密集し、いろいろなサービスが存在しており、人々は外に遊びに行くのが好きなようです。グルーポンが広がる好条件がそろっています。

 進出に当たってはクーポッド以外にも様々なチームと接触しましたが、ネットしか分からない企業とはやりたくなかった。ユーザー体験への考え方や企業文化などを重視してクーポッドを選んだ。

 今後はグルーポンのノウハウをクーポッドに提供していきたいと思います。あらゆる失敗をしてきましたからね(苦笑)。

 どのような種類のクーポンをどのような人に組み合わせて販売するのがよいのか、オペレーションや集客のノウハウ、ファイナンスのやり方などいろいろなことを共有していきたいと思います。

 また、大都市ではさらに区分化が進んでいます。例えば東京という地域もより区分けしていくなど、ユーザーから見てより身近に感じてもらえる場所を提供していきたい。 ―― 今後やってみたいビジネスはありますか。

 世界中でローカルのビジネスを活性化させていきます。それと同時に、大企業とのタイアップも面白いですね。

 米ギャップと全米全ての都市でタイアップする企画をやりましたが、非常に反響が良くて、1日50万クーポン売れました。こうした新しい分野も拡大していきたいです。

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