東京電力湯沢発電所の水利権問題
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2010年10月30日 asahi.com
清津川(十日町市)の水を発電に使った後、魚野川(南魚沼市)へ流す東京電力湯沢発電所(湯沢町)の水利権をめぐって、下流の両市が対立している問題で、十日町市の関口芳史市長と南魚沼市の井口一郎市長は29日までに、清津川へ放流する水を増量することで合意した。
この問題をめぐっては、来月上旬にも、泉田裕彦知事と両市長による2回目の三者会談が開かれる。この席で3氏は、
(1)魚野川流域の水資源を確保する抜本策に向けて、県と南魚沼市で委員会をつくる
(2)抜本策ができるまでの暫定措置として、清津川への試験放流の増量を検討する。南魚沼地域に支障のない範囲とする――ことについて、協定書に調印する見通しだ。
現在の試験放流は、清津川の渇水対策のために5年前から実施されている。清津川から最大で毎秒6.121トン取水し、季節によって毎秒0.334〜1.078トンを戻すというもの。十日町市内で28日に開かれた「清津川・魚野川流域水環境検討協議会」は、清津川の河川環境に「効果があった」と結論づけた。
今後はこの数字をベースにして、清津川への増量をさらに検討することになるが、十日町市側が「検討協に提案した毎秒1.68〜2.94トンの常時放流をたたき台にしたい」としているのに対し、南魚沼市側は「清津川への放流は、年平均で毎秒1トン未満に収めたい」としている。増量する
数値については、なお曲折が予想される。
湯沢発電所の水利権は、今年末で期限が切れるが、県による地元意見照会の段階でストップしており、いまだ許可が下りていない。東電は来年
1月1日からの水利権について、現在の試験放流の内容通りに、11月中に国土交通省北陸地方整備局へ申請する。期間は20年間。県と両市の議論の行方によっては、流量の変更はあり得るとしている。
(服部誠一)