株式会社 新潟農園
http://www.n-kome.jp/
株式会社神明
http://www.akafuji.co.jp/
新潟日報 2011年1月9日
新潟県JA関係者ら!
環太平洋連携協定(TPP)をめぐる論議が続く中、輸出で日本のコメ農業の活路を開こうとする機運が高まりつつある。和食ブームや内外価格差の縮小を背景に、卸最大手の神明(神戸市)が年間輸出目標を3.6倍に引き上げ、商社も売り込み策を練り直すなど、アジアの富裕層を狙った動きが加速。新潟県関係者も新市場開拓へ期 待感を寄せている。
統計によると、主食用コメの輸出量は2010年1〜10月で1,380トン。国内生産量824万トンに対して微々たる量だ。国産米の平均取引価格は消費減退などを受け昨年11月時点で60キロ1万2,630円と4年前から17%下落。一方、国際的は世界的需要で上昇基調にある。日本人が主食にする短粒種では、3年前に5キロ当たり約10ドル(FOB= 本船渡し価格)あった価格差が足元は5ドルまで縮まっている。
すしなどの普及に加え、安全性や食味で勝る日本産米の人気は高い。神明は昨年、JA北越後(新発田市)JA魚沼みなみ(南魚沼市)などと連携して本県産米の輸出を始め、欧州や豪州などへの販売強化を図る。日本産米の輸出実績330トン(09年産)に対し、10年産は一気に1,200トンに拡大する計画。さらに、18年までに年間1万ト ンの大台乗せを目指す。
10年産魚沼コシヒカリ20トンの輸出を計画する同JAでは「出荷も販売も順調。すし向けが中心で、量が足りないほどだと聞いている」と手応えを語る。
総合商社の兼松は、栃木県と組みコシヒカリを売り込むフェアを毎年、香港で開催してきたが、「今後は東南アジアや欧米でも検討中」(穀物油脂部)。
農林水産省は昨年12月、中国国営企業と農産物の対中輸出拡大で合意した。
新潟県農協中央会の万歳章会長は「中国は相当の購買力を持っている。コメ生産県としてはありがたい。価格の折り合いが付けばぜひ輸出したい」と語る。
本県関係者は、検疫体制の条件緩和による新潟港からの輸出の可能性についても注視している。
コメ輸出も手掛ける新潟農園(新潟市秋葉区)の平野栄治代表は「中国は市場として潜在性が高く、販路が整えば、新潟のコメを輸出できるチャンスが広がる」と語る。