未来を拓く若手生産者の挑戦(7)!
竹内農園 新潟県長岡市下山6-145-3 TEL:090-2315-3687
http://local-restaurant.jp/map/food.php?id=208
長岡野菜ブランド協会
http://nagaokachuoseika.co.jp/
2011年1月15日 新潟日報
長岡の伝統野菜「体菜」(たいな)が所狭しと並ぶ。漬物加工販売などの株式会社「長岡やさい耕房」(長岡市)の加工場で、同社取締役竹内剛さん(31)らが、寒さで甘みが増した体菜の塩漬け作業を手際よく進めていた。「本当は3月まで売りたいが、1月いっぱいで品切れになりそう」。好調な売れ行きに笑みがこぼれる。
同社は地元農家3戸が昨年2月に設立した。5月に稼働し、年末までの売り上げは1,300万円。3年後には年3,000万円の売り上げを目標とする。共同出資者の一人である竹内さんは地元では珍しい野菜専業農家「竹内農園」の主でもある。生鮮野菜より高値で売れる漬物向けの作物も手掛ける。地場産人気もあり、野菜の生産量は需要に 追い付かない状況だ。「従業員に加工、配達を任せることで、自分は野菜作りに専念できる。野菜の生産量を上げるため、人のやりくりをどうするかが悩みどころ」と語る。
同市のサラリーマン家庭に生まれた竹内さん。就職活動を始めた大学3年生のとき、機械にできないものづくりとして農業を選択肢の一つに考えた。知り合いのつてをたどり地元の飯塚農園で冬休みの1か月間、アルバイトを体験。野菜の苗作りなどを手伝った。天候や成長具合など常に先を読みながら進める仕事の奥深さを感じた。
将来性も「ある」と踏んだ。地産地消の機運が高まり、伝統野菜の見直しと普及も動き出していた。農家の減少を聞いても、「担い手が少なくなれば、やり方次第でチャンスにもなる」と逆転の発想で就農を決めた。
大学を卒業した2002年、同農園で本格的に研修を始めた。共同経営者として納品や経理の経験も積み、07年に独立して竹内農園を設立。高齢化で規模を縮小した飯塚農園の農地やハウス、農業機械を引き継いだ。経営に何が必要か、研修など通じ多くを学んだ。多品目を栽培した割に売り上げが伸びず、余った作物を市場に出しては 買いたたかれていた。「良いものでも安い値段を付けられるやり方では駄目だ」。余った品目の耕地を減らして売れる品目に切り替えた。ホテルなどを得意先とする仲卸や直売を主な販路とした。
枝豆や「長岡巾着ナス」など栽培7品目は、独立前の半分以下。「漬物にして一手間加えることで小売りの値段が倍以上になる」と手応えを語る。自分たちが作った野菜を食べられる地元飲食店を増やすのも当面の課題だ。
竹内さんは「作物はうそをつかない。手を掛けた分だけ正直に品質に表れるのがおもしろいし、やりがいになる」。マメだらけの手を見ながら充実感をにじませた。