キヌア
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栄養価が高く、欧米や日本で人気を集めつつある穀物「キヌア」。
栽培している先住民たちは、その経済効果に期待している。
"アンデスの黄金の穀物"とも呼ばれる「キヌア」は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が宇宙食に使うほど栄養価が高いことで知られる。近年では、先進国で需要が増えており、世界最大のキヌア生産国であるボリビアの貧しい地方を変えようとしている。
キヌアは、人体に不可欠な10種類のアミノ酸を含み、高タンパクで、リンやカルシウム、鉄分、ビタミンEも豊富だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、キヌアは母乳の代わりにもなる。また、一流シェフの注目も集めており、リゾット風に煮たり、パンに混ぜたりと、いろいろな味が楽しめる。
ボリビアのモラレス大統領は、キヌアを"戦略的食品"と位置づけ、国民の栄養状態の改善に利用しようとしている。その結果、卸売りの売上高は2000年頃から7倍に増加している。
世界のキヌア市場でボリビアが占めるシェアは46%。続いてペルーが30%、米国が10%となっている。ボリビアのキヌア輸出量は00年から10年間で約10倍の年間1万4500tに増加。主な輸出先は米国と欧州、そして日本だ。
注目されるようになったきっかけは、87年にスペイン国王夫妻がボリビアを訪問した際に食したことだ。以後、その価格も上昇し、83年に100ポンド(約45kg)あたり3ドル(約250円)だったのが、いまでは100ドルで取り引きされている。
標高4000mほどのせた土地でも育つキヌアは、寒さやにも強い。栽培する先住民はボリビアでもとりわけ貧しく、彼らの多くは数十年前まで物々交換を行っていた。だがキヌアの輸出量が増えたことで、貨幣経済に参加できるようになった。
欧米では、大豆の5倍の値がつくこともあるキヌアが、ボリビアの高地の貧困層を救うのではないかと期待が高まっている。