山口酒造場
2011年3月2日 exciteニュース
大阪天満宮で開催された「第5回天満天神梅酒大会」。今年は日本全国から秘蔵の梅酒302銘柄が集結した。約5千人の来場者と最終審査員により選ばれた梅酒の日本一は、福岡県久留米市の山口酒造場の「特撰梅酒 うぐいすとまり 鶯(おう)とろ」(本体価格720ML 1,554円税込み)に決定した。
審査委員長が「新しい感覚の梅酒」と評価する同梅酒は、酸味ととろみ、果肉の甘みや旨みが贅沢に味わえる。レビューでは「梅の果肉がたっぷり入り梅の風味が堪能できる、とろみがあるが甘すぎず後味がさっぱり」と高評価。1位に輝いた美味しさの秘密は一体何だろう。創業江戸天保3年、老舗の山口酒造場の社長、山口哲生さんに話を聞いた。
「『うぐいすとまり』は日本酒からできる酒粕を使って造る粕取り焼酎と、母方の里・大山町の梅農家で採れる品質の良い梅をたっぷり使って造ります」。一般的な梅酒の1.5倍~2倍の量の梅を使うという梅酒は、昔ながらの祖母のレシピを再現。昔から梅酒は粕取り焼酎を使ってつけるのが一番美味しく、贅沢な飲み方と言われていたが、戦後は粕取り焼酎自体が高価で、モノ不足の時代に熟成を待つということは庶民の間で考えられないことだったという。
「粕取り焼酎をじっくり寝かせること1年、それから梅酒を仕込み独特のとろみが出るのをじっくり待ちます。そして待つこと2年。そうすることで他の原料では絶対に出ないとろみと旨みが凝縮されます」。日本酒の酒造だからこそできる手間をかけた贅沢な製法で、まろやかで独特な味わいの「うぐいすとまり 鶯とろ」が誕生する。
「梅酒は健康にも良く体をアルカリ性に変えてくれるので肉類や油分を多くとる日本人の食生活に合います。お勧めの飲み方はオン・ザ・ロック。引き立つ酸味と濃醇な甘みを味わってください。ソーダで割っても味が薄まらず、最後の一滴まで美味しく味わっていただけるのが特徴です」
山口さんの祖父は一村一品運動の創始者で農業の神様といわれた故・矢幡治美さんだ。…
矢幡さんの「大山町の梅を使い極上の梅酒を造る」という夢を孫である山口さんが実現した。「梅酒を造り始めて約10年。日本酒の酒造ですが、祖父が梅で苦労していたので梅酒には強い思いがあります。酒かすが出る量しか造れないので出荷数には限りがありますが、これからもいい梅酒を造っていきたい」。今宵、山口酒造場の梅酒への思いをつまみに、「うぐいすとまり 鶯とろ」をじっくり味わいたいと思う。
(山下敦子)