森のエネルギー研究所
http://www.mori-energy.jp/
南魚沼産コシヒカリ 5.9 05:00 SanKeiBiz
環境コンサルティング会社「森のエネルギー研究所」(東京都青梅市)は、細かい木くずなど生物資源(バイオマス)の燃焼熱を給湯や暖房などに利用する装置「木質バイオマスボイラー」の企業向け導入支援事業に乗り出した。ボイラーは現在、重油を燃料とするタイプが主流だが、東日本大震災直後の石油燃料不足を機にボイラー燃料の見直し機運が高まりつつある。これを見越してホテルや温泉施設などへの提案を強化、年内に10社の受注獲得をめざす。
木質バイオマスボイラーに使う燃料は、製材所が木を加工する過程で出た切れ端などの木くずだ。これまで同社は、木くずをボイラー燃料に活用する支援事業について、地方自治体を中心に展開してきた。この実績を土台に民間への普及を本格化させる。
ターゲットは、石油燃料を大量に消費する企業。ホテルや旅館など観光業のほか、クリーニングや食品といった加熱処理を必要とする工場からの燃料転換ニーズにも応える。
これらの顧客候補企業に対して、木質バイオマスボイラーの導入に向けた無料診断を実施する。流れはこうだ。
まず、コンサルの依頼を受けると、石油燃料の消費実態や既存ボイラーの稼働状況などを調べる。次に、調査結果を踏まえて、木質バイオマスボイラーが依頼主の経営にどんな影響を与えるかを分析し、顧客のコスト負担に配慮した最適な導入計画を導き出す。
これらの診断結果に依頼主が納得すると、顧客に適した木質バイオマスボイラーの選択から装置メーカーの紹介までをサポートする。最終的に、依頼主が国の助成制度を使ってボイラーを導入できた場合、依頼主から一定の成功報酬を受け取る。
木質バイオマスボイラーの導入効果は、「脱化石燃料」による二酸化炭素(CO2)の排出削減だけではない。木質バイオマスは価格変動が小さいため、ボイラー運用コストを安定化できる利点もある。
さらに、バイオマスには追い風も吹く。政府が、木材自給率を今後10年で現在の24%から50%まで引き上げる目標を掲げた。これを機に国内林業が盛り上がれば、製材所から発生する「副産物」としての木くずも増え、木質バイオマスボイラーへの燃料供給力が高まる。
大場龍夫代表取締役は、こうした利点に着目して民間需要の開拓強化に乗り出した。さらに大場氏は「燃料以外の建材製造や化学品開発などに応用できる木質バイオマスの経済波及効果にも注目して地域振興に役立ちたい」と話している。