2011年5月26日 オルタナ
最近、メガソーラーという言葉を聞く機会がとみに増えた。出力容量1メガワット(1000キロワット)以上の大規模太陽光発電装置のことだ。そもそもメガソーラーは、原子力発電などと比べて、どれほどの実力があるのだろうか。
メガソーラーは、1メガワット(1000キロワット)以上の大規模な太陽光発電施設と定義される。一般家庭の屋根に取り付けられる太陽光発電は2~4キロワットなので、実にその250~500倍に相当する。
現在、日本最大のソーラー発電所は中部電力の武豊火力発電所(愛知県武豊町)の敷地内に建設中の大規模太陽光発電所「メガソーラーたけとよ」で、2011年10月に営業運転を始める予定だ。出力は7.5メガワット(7500キロワット)だ。
「メガソーラーたけとよ」では、約14万平方メートルの敷地にパネルを最終的に3万9000枚設置する。一般家庭2000世帯分の年間消費電力に相当する年約730万キロワット時を発電する計画だ。
次いで、「川崎大規模太陽光(メガソーラー)発電所」(東京電力と川崎市、約30ヘクタール、出力合計は20メガワット)が2012年中の完成を目指す。完成すればこれが日本最大となる。これで約5000戸の家庭の電気がまかなえる。
電気事業連合会によると、2011年1月時点で世界最大規模の太陽光発電施設は、カナダのオンタリオ州にある発電容量80メガワットの施設だ。タイでは73メガワットのプロジェクトが進む。
エコシフト技術工事協同組合(東京・港区)の関口渉代表理事によると、メガソーラーの原価は、1メガワット当たり2億円弱が相場という。
仮に100万キロワット(1000メガワット)のソーラー施設であれば、ざっと建設費は2000億円程度になる。100万キロワット級の原子力発電所の建設コストは3000億円程度なので、これだけでもメガソーラーの方が安い。
しかも、原子力ならウラン燃料費、使用済み燃料の処理費、近隣対策費など膨大なコストが必要だが、メガソーラーはそれがない。
原子力発電には巨額の国家予算、つまり国民負担が充てられるが、メガソーラーは建設費の一部に補助金が出るくらいだ。ソーラーの電力買取り負担(サーチャージ)は一世帯当たり100円程度のものだ。
つまり、同じ100万キロワットの設備を作る場合の建設コストだけみても、メガソーラーは原発より断然おトクなのだ。
そのメガソーラーが生み出してくれる電気の価値はどれくらいあるのだろうか。5月25日に設立が発表された「自然エネルギー協議会」は、参加自治体(26道府県)に20メガワットのメガソーラーを建設していく計画だ。
1キロワットのパネルが発電する量はおよそ年間1000キロワット時とされるので、20メガなら年間2000万キロワット時ほど。
2012年4月から、自然エネルギーの全量買取り制度が予定通り導入されれば、年間およそ8億円となる(現行買い取り価格の1キロワット時40円で計算)。
つまり、40億円の投資であれば、だいたい5年で元が取れる計算だ。設置時に補助金を利用すれば、3年で元を取ることも不可能ではない。
太陽光発電の買い取り価格は次第に下がっていく予定だが、発電者にとって、それでも3-5年以降はほとんどコストを掛けないで、年間数億円の収入が入り続ける計算になる。投資の利回りとしても決して悪くない数字だ。
問題はメガソーラーを設置する用地だ。メガソーラーでは1メガの発電容量のパネルを設置するために3.3万平方メートルの敷地が必要とされる。20メガなら66万平方メートルだ。ざっと東京ドーム14個分となる。
原子力発電1機並みの100万キロワット(1000メガワット)なら、東京ドーム700個分が必要となる。しかしこれも、耕作放棄地などの利用が実現すれば、用地コストはグンと安くなる。
日本は2020年までに太陽光発電について、2800万キロワットの導入を目標に掲げている。日本のの導入量はかつて世界1位の時代が長く続いたが、その後、ドイツやスペインに抜かれ、現在は3位だ。日本が再び首位を取り戻せるだろうか。
(オルタナ編集部)