米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律及び関連政省令等
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/keikaku/kome_toresa/
2011年6月9日 読売新聞
米トレーサビリティー法が7月に完全施行され、米飯を出す飲食店や、米菓や清酒などの米加工品を製造・販売する業者は、米の原産国を記載しなければならなくなります。米の生産者や取引業者には流通ルートの記録保存も義務づけられ、偽装防止につながることが期待されます。
東京・中央区の料理店「池のや」は、「当店のごはんは国内産のお米を使用しています」と書かれたポスターを店内に貼っている。日本米穀小売商業組合連合会が、全国の米穀店を通じて飲食店に無料配布したものだ。
トレーサビリティーとは、食品の流通などを追跡できるようにしておくこと。事故米として工業用に販売された米が食用に不正転売されていた事件が2008年に発覚し、同法が09年に成立した。
段階的に施行され、昨年10月から、国内で流通する米の生産者や流通業者に対し、出入荷先や時期、数量、原産国などの記録を保存するよう義務付けた。偽装事件などがあった場合に調べられるほか、検査も行われる。
さらに、7月からは、消費者への原産国情報の提供も義務付けられる。ただし、米穀店などで売られる米は、日本農林規格(JAS)法の品質表示基準に基づき、すでに産地表示が行われている。
飲食店で米飯を出す場合、メニューに記載するか、店内に「当店は○○国産の米を使用しています」などと掲示することが必要になる。すし、チャーハン、オムライス、ドリアなども対象だ。
ファミリーレストラン大手の「すかいらーく」グループは今月中に、米の原産国などが見られる自社のホームページアドレスやQRコードをメニューに記載する。「アレルギーを起こしやすい食材など様々な原材料情報を一括して伝達したい」として、メニューに直接印刷することは見送ったという。
また、米菓や清酒、みりんなどの米加工品も、製造業者などは米の原産国を容器などに記載する必要がある。業界団体によると、米トレーサビリティー法施行を機に、加工品の原料を国産米に切り替える業者が増えたという。
新潟県の米菓メーカー「岩塚製菓」は今春、主な製品の原料をすべて国産とした。包装の裏面の原材料欄に「うるち米(日本)」などと表記し、一部商品は表側にも「国産米100%」と印刷した。
農林水産省によると、輸入米は飼料用や加工用としての用途が多くを占め、主食用は国内販売量の1割未満。国内で消費されている主食用の米に占める輸入米の割合は1%程度だ。
日本消費者連盟(東京)事務局長の山浦康明さんは、「お米は日本人にとって最も身近な食品だが、流通ルートは見えにくかった」と指摘。「米トレーサビリティー法の施行により、偽装があっても流通ルートを調査できる。米の原産国がわかることで、消費者が商品選択をする際の参考になる」と話している。
消費者に知らせる方法
■飲食店などで米飯を提供する場合
・店内のポスターやメニューなどに産地情報を表示
・店内やメニューに、「店員にお尋ね下さい」「ホームページをご覧下さい」といった産地情報を知る手段を表示する
■米加工品を製造、販売する場合
・商品の容器や包装に米の原産国を記載する
・商品の容器や包装に、産地情報が得られる電話番号やホームページのアドレスなどを記載
・通信販売などでは、カタログやホームページなどに原産国を記載
(農林水産省による。いずれかの方法をとればよい)
(2011年6月9日 読売新聞)