にいがたの木喰(新潟公式観光情報ナビ)
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「みな人の こころをまるく まん丸に どこもかしこも まるくまん丸」。こんな歌を詠み、その歌を表すような丸い顔に優しい微笑みをたたえた仏像を彫った僧がいた。民芸運動を起こした柳宗悦(やなぎむねよし)が見出し、「微笑仏」と称されるその仏像の作者は、江戸時代後期の遊行僧、木喰上人である。
木喰上人は享保3年(1718)甲斐の国生まれ。五穀、塩、火を通した食物を断つ修業「木食戒」を受けた後、日本各地を旅して千体以上ともいわれる仏像を彫った。全国木喰研究会顧問の大久保憲次さんは「木喰は、旅先で縁あって巡り会った人々に笑顔をたたえて接し、易しく佛の道を説いたり、日々の信仰のよすがにと意識して親しみに満ちた表情の仏菩薩を刻んで施与したりした。木喰仏の魅力は、その慈愛に満ちた微笑みの表情と庶民的な親近感とでも言うべきものにあるのではないでしょうか」と語る。
生涯のうちに2度訪れ、それぞれ4年ほどを過ごした新潟には彼の足跡が数多く残る。現在、全国で確認されている約620体の木喰仏のうち、4割に当たる約260体が新潟にある。しかも再訪した80代後半は木喰上人の円熟期に当たるため、微笑仏の特徴がよく現れた傑作が数多い。また、30体を超える大群像が残っているのも、新潟県内の4か所のみである。
200年に渡って庶民を守り、また庶民に愛されてきた新潟の木喰仏。彼がその足で歩き、人々と過ごした土地の風土を感じながら木喰仏を巡る旅に出かけてみよう。