南魚沼産コシヒカリ 08.05 zakzak
古米、古々米、古々々米-。これまで人気がなかった“古いコメ”が再注目されている。東京電力の福島第1原発事故を受け、放射性物質の心配がない昨年産のコメを消費者が買いだめ、在庫が尽きるスーパーも出た。インターネットの通販でも品薄傾向でまるで米騒動の様相だ。
農林水産省が、収穫前後の2段階に分けて実施するコメの検査方法を公表した今月3日。その前後から、東京都練馬区の米穀店には「今あるコメを取り置きしてほしい」と依頼する常連客からの電話が入るようになった。
江東区のスーパーでは通常の2倍の売れ行き。別のショッピングセンターでは4日午後、数種類置かれたコメのほとんどが売り切れていた。中央区のスーパー店員は「問屋も出し渋っている。まるで米騒動だ」。
卸売り大手の木徳神糧(東京)によると、新米の本格流通を控えたこの時期、前年産のコメはあまり売れないため小売店は仕入れを控えるのが通常で、店頭に並ぶコメはもともと少ない。
同社の担当者は、コメで暫定基準値を超えるようなケースは考えにくいとした上で「新米が流通するようになれば騒ぎは収まるだろう」と話し、消費者に過剰反応しないよう呼びかけた。
小売店の関係者からは「基準値未満でも放射性物質が検出された場合、消費者がどう行動するか分からない」との指摘も。米どころの新潟・福島で降った豪雨の影響も判然とせず、コメ不足に陥らないか心配という。
江東区のショッピングセンターで買い物をしていた女性(53)は「昨年産を買いだめしている知り合いもいる。主食だから不安がないと言ったらうそになる」。
中央区のデザイナーの男性(47)は「汚染牛肉が流通したし、後から『やっぱり出てました』となったら大変。自分の身は自分で守らなきゃいけない」と眉間にしわを寄せた。
ネット通販で日持ちする玄米を購入しようとした埼玉県上尾市の男性(41)は「一端、注文を受けつけてくれたけど、在庫切れですぐにキャンセルのメールが来た。ネットの方が品切れ感が高いような気がする。これからは近所のスーパーを小まめに回って調達するしかないのか…」と途方に暮れていた。