分限処分
8月22日 YOMIURI ONLINE
大阪府の橋下徹知事が代表の地域政党・大阪維新の会が21日、府議会と大阪、堺両市議会に議員提案する「職員基本条例案」と「教育基本条例案」の最終案を固めた。
年功序列を廃し、「抜てき人事」を可能にする一方、連続最低ランクの人事評価の場合は分限免職にできるなど、政治主導の「アメとムチ」で公務員制度改革を進める内容。国歌斉唱時に起立しない教職員を分限免職にできる規定も盛り込んだ。成立すれば、懲戒・分限処分基準を明文化した条例は全国初。来年4月の施行を目指す。有識者らからは早くも反対論が噴き出している。
2条例案は21日の維新の全体会議で了承された。22日に正式発表する。維新は府議会と大阪市議会の9月定例会に提案した上で、11月27日に想定される府知事、大阪市長のダブル選で争点にする方針だ。堺市議会には11月に提案する見通し。
職員を対象にした職員基本条例案には「日本では公僕であるべき『公』が権力の中枢に座り、『民』が隷従している。『民』主体の社会とするために公務員制度改革を行う」と明記。教職員対象の教育基本条例案には「政治が適切に教育行政における役割を果たす」などと理念を記した。
人事制度や懲戒・分限処分の基準などは両条例案に共通している。
人事評価では5段階評価を導入し、給与などに反映。最低評価が連続した場合は、新設する人事監察委員会の審査を経た上で分限免職や降任の対象にする。
部長や次長などの幹部は「準特別職」と位置付け、庁内や民間から任期付きで公募。府立、両市立校の全小中高校長も公募し、能力主義の人事を徹底する。
組織再編などで余剰人員が生じた際は、配置転換の努力をした上で、分限免職の形で「整理解雇」できることも規定。「天下りの根絶」では、20年以上勤務した職員の出資法人などへの再就職を禁止。人材バンク制度を活用する場合を除き、職員やOBの再就職をあっせんすることも禁じた。
また、学校での国歌斉唱時に起立しない教員を念頭に、「起立斉唱」など同一の職務命令に3回違反した場合は、分限免職とする規定も盛り込んだ。