かねこライス
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2011年9月8日 週刊文春 「THIS WEEK 暮らし」
震災と原発事故の影響で、“米騒動”が起きている。
「いまは西日本の早場米(はやばまい)の季節ですが、ほとんどが商社などに買い占められており、ウチの様な小規模な米穀店では仕入れられない状況です」(第三回お米マイスター全国ブレンド技能グランプリ優勝の「お米のたけうち(京都府)」店長・竹内康宏さん)
ネットで累計千トン以上の米を販売している「かねこライス(埼玉県)」の代表取締役・金子厚さんも言う。
「千葉県産の早場米が出回る時期なのに、まったく手に入らない。隣の茨城県産から放射性セシウムが検出されたというニュースの影響を考え、自主的に出荷制限をしているのかもしれません」
茨城県産の米から検出された放射性セシウムは一キロ当たり五十二ベクレル。同県は「国の暫定基準値を下回り、安全性に問題はない」としているのだが……。
結果、古米に人気が集中。
「放射能の影響がないとされているからでしょう。個人で六百キロ以上買う人も珍しくありません。直近の二週間で七トン以上売れたほどです」(同前)
「例年は古米が倉庫に山ほど積まれていますが、今年は半分以下。あと二0三カ月持つかどうか微妙なところで、追加発注しようにもモノがない」(大手商社・米穀担当者)
まもなく米の収穫が本格化するが、どうなるのか?
「米の価格安定を狙い先物市場が七十二年ぶりに復活しましたが、それでも今後の検査で放射性物質が不検出となった新米は、価格が上昇する可能性が考えられます」(経済評論家・平野和之さん)
流通ジャーナリストの金子哲雄さんはこう語る。
「あまり価格が上がると日本人の米離れが加速して販売量が減る。そのため、魚沼産コシヒカリの様な超有名ブランド米以外の価格はしばらくすれば落ち着くでしょうから、買い急がないことです」
では、この“米騒動”がファストフードやコンビニに与える影響は?
「大手外食産業等は事前の契約で原材料を大量に仕入れているので、すぐに米が足りなくなるとか、牛丼やおにぎりの価格が上がるということはないはずです」(同前)
お父さんのランチは当分安泰のようだ。(岡崎博之)