とんかつスイーツ(清まる)
http://www.tonkatsupafe.com/wadaimenu.htm
2011/10/23 ネタりか
筆者は、B級グルメが大好きである。出身地・青森県のB級グルメ「せんべい汁」は子供の頃から好物だったし、いま住んでいる神奈川県の「厚木シロコロ・ホルモン」も月に一度は食べている。やはり、数あるB級グルメの中でも、自分と縁のある土地のものは特に好むし、応援もしたくなる。
と、愛媛県出身の妻になにげなく尋ねてみた、「キミの出身地にB級グルメはないのかしら?」。そう言われても妻は心当たりの無い様子だったが、実家の親や旧友などから情報収集を行い、愛媛のB級グルメを探し出してきた。それは――。
「とんかつスイーツ」。いやいやいや。待ってくれ妻。たしかに、愛媛のB級グルメについて尋ねはした。負けず嫌いのキミのことなので、自分は知らなくても誰かから聞いたり調べたりして仕入れるだろうことも予想はついた。けどね。「とんかつスイーツ」は無いって。愛媛のB級グルメは尋ねたけど、愛媛のゲテモノ料理を知りたかったわけじゃないんだ。
しかし筆者は、愛媛へと旅立った。とんかつは好きだ。好物ベスト3に入る料理だ。スイーツも好きだ。メタボ気味のお腹を気にしながらも、しょっちゅう食べている。この“とんかつ+スイーツ”というコラボレーションに、なぜか心魅かれてしまい…。
そうしてやってきたのは、愛媛県松山市。日本三古湯としても知られる道後温泉の近くに、とんかつスイーツを扱う「清まる」はあった。外観も内装も、取り立てて奇異なところは無い。フツーのとんかつ屋さんだ。
メニューを見る。おいしそうなとんかつの写真が並んでいる。そして……。あった。本当だった。「とんかつパフェ」や「とんかつケーキ」なるスイーツメニューが、たしかにあった。「あ、じゃあ私、この“ハーブ豚定食”をお願いします」と同行者が先んじて注文をする。え? とんかつスイーツじゃないの? 「いや、私、普通に食事したいんで」。
同行者の裏切りに遭いつつも、筆者はとんかつパフェを注文した。いや、それだけでは、せっかく愛媛まで来た意味がない。食べ切れるかはわからないが、とんかつケーキも注文しようじゃないか。
とんかつスイーツは出来上がりに時間がかかるとのことで、先にハーブ豚定食が来た。ふむ。いい香り。同行者から一切れもらって食べてみると、肉はやわらかく、肉汁もジュワッ。このハーブ豚は、放牧で育てた、日本で二ヶ所しか生産していない豚だという。実にウマイ。これだけのとんかつを食べさせてくれるなら、何もスイーツに手を出さなくてもいいのではないか……。
ついにやってきた、とんかつパフェととんかつケーキ。パッと見はどちらもノーマルなスイーツなのだが、たしかに、とんかつも同居している。う~む……。これを食べるのは、なかなか勇気がいるぞ……。いや、でも、せっかく来たんだ。食べよう!
「あ、ウマイ」という言葉が自然とこぼれた。ウマイのだ。サクサクの揚げ物は、紛れもなくとんかつである。これを、生クリームや抹茶アイス、リンゴなどといっしょに食べると…。意外なほど良く合うのだ。しつこい、くどいということもない。独特の食感と味わいに魅了され、完食した。
「清まる」のご主人・小泉清子さんは、「とんかつスイーツを、松山の新しい名物にしたい」と語る。「ただパフェやケーキを食べるよりも、とんかつといっしょに食べることで栄養価が高まるメリットもあります。それに、何より食べていて楽しい気分になると、お客様に喜んでいただいています。必死に研究して出来上がったとんかつスイーツを、日本中、世界中の人たちに食べていただきたいですね」。
「清まる」のホームページから、とんかつパフェ、とんかつケーキのキットを取り寄せることもできる。日本中、世界中に、この斬新すぎるスイーツが今後広まっていくかもしれない。「清まる」は、愛媛県松山市道後北代1-24。
(木村吉貴/studio woofoo)