産業連携ネットワーク設立総会 議事概要
日時:平成23年12月1日14:30~16:00
場所:学士会館210号(千代田区神田錦町)
1 開会挨拶及び設立趣旨 (農林水産省 針原食料産業局長)
食料産業とは、1次産業を核にした関連産業の総称をいう。1次産業だけでは10兆円の市場だが、外食や食品加工も含めた関連産業は100兆円の広がりをもつ市場である。
農村漁村の資源を使った観光、バイオマス産業も食料産業に含まれる。この100兆円市場を育てて、日本経済の活性化に取組んでいくのが食料産業局の位置づけである。関連産業の成長を目標としているため、お互いに食い合うことではない。農家が加工や販売といった6次産業化に取組むことで、今まで商売されてきた方が損をするのでなく、一緒に手を携えて100兆円を成長させていく。イノベーションとは技術革新だけでなく、新しい原材料、販路開拓、新しい会社経営のあり方も含めて考え、新結合を起こして創造的破壊をしていく。産業連携ネットワークは新結合の場を作ったり、新しい商売やビジネスの発展型が生まれる出会いの場にしたい。まずは、中央にネットワークを作り、地方にも広げて、新しい取組みのきっかけとなることを願っている。
2 関係省挨拶(経済産業省 内山地域経済産業審議官)
農林漁業は地域を支える基幹産業である。農林漁業は大変厳しい局面にある中、高齢化や担い手の不足といった深刻な状況を克服していくために、産業として発展させていくことが重要である。生産サイドでは、地域特性を活かすことが重要であるが、本ネットワークには、農林漁業だけでなく、商工業、消費者等多様な分野の方が参加しており、知恵を結集して、新しい出会いや結びつきが生まれる場ができた。消費サイドでは、農林漁業と食品関連、周辺産業を合わせると国内には100兆円の市場が広がっており、さらに、海外マーケットも含めると、市場はますます広がっていくことから、消費者ニーズをとらえて農林漁業がもうかる形にしていくことが重要。経済産業省は、農林水産省と協力して農商工連携の推進に積極的に取組み、各地域において経済産業局と農政局とが協力してきた。今後はITを活用したり、マーケティング等の経営支援などで農業の成長産業化に協力・支援していく。本ネットークが農林漁業の成長産業化、地域の活性化、ひいては日本経済の活性化につながること、及び参加者の皆様の御発展を期待する。
3 産業連携ネットワークの今後の活動方向(農林水産省 新井産業連携課長)
・設立趣旨書(資料1)の確認
・産業連携ネットワーク規約(資料2)の確認
ネットワークの運営にあたって、幹事会を設置するものとする。幹事一覧は資料の4ページのとおり。ネットワークの事務局は農林水産省食料産業局産業連携課に置くものとする。
・産業連携ネットワークの当面の活動について(資料4)の説明
本日12月1日にネットワークを設立したので、まずは会員への意向調査を実施する。農林水産、農山漁村の分野で会員の皆様がどのような活動をされているのか、ネットワークを活用して今後どのような取組みを展開する予定なのか、どのような新たな連携を求めているのかなどアンケート及びヒアリングを実施する。来年1月に第1回幹事会を開催して、12月の意向調査を踏まえて、当面の活動方針、今後のプロジェクトや場合によっては部会や研究会の設置などを決定していく。2月以降は部会においてモデレーターを選定して各プロジェクトを開始していく。その活動を踏まえて5月頃に第2回幹事会を開催して、活動のフォローアップや進度をチェックしていく。本ネットワークはプラットホームであり、民間の方々のビジネスの促進が目的のため、実際のフィールドがある地方でのネットワークの活性化や活動を誘発させていくことを目標としている。地方ブロックはまだ遅れているが、本日の中央でのネットワーク設立を機に、地方段階においても会員募集および意向調査を行ってとりまとめ、3、4月には各ブロックごとに活動開始していく。会員募集、事務局からの情報提供は随時実施して、事務局からの連絡は電子メールにて行う。
・産業連携ネットワーク参加者名簿(資料6)
本名簿は23年11月29日現在のもので、現在、約430の個人・企業から参加となっている。分類等に誤りがあれば、事務局までご連絡いただきたい。8ページ以降は、参考として、北海道から沖縄までブロックごとに協力いただける者の名簿となっている。地方ブロックも合わせると、食分野や農村漁村に知恵を結集させようと意思のある団体・企業等は総計約2300となっている。地方ブロックは現在の組織母体を核に、今後、経済産業省や他省とも連携して、さらに広げていく。
名簿については公表に同意した上で、ネットワークに参加していただいており、名簿は農水省HPにて随時更新していく。
4 記念講演 「日本『再創造』-プラチナ社会の実現に向けて」(三菱総合研究所 小宮山宏 理事長)
・将来的に人工物の需要は飽和状態となる。今ある商品は普及してしまうと需要は伸びないが、エネルギー産業や高齢者を対象にしたシルバー産業はこれから生まれる新しい需要であり、内需と雇用を生む。
・日本はオイルショックというエネルギー危機を克服してきた。エネルギー使用を減らし、自給エネルギーを高めることが大切。また、資源が安く買える時代は終わったので、金属リサイクルも有効な省エネルギー手段である。
・高齢社会をいかに元気にしていくか。高齢者の知恵をいかに継承していくべきか。高齢者が参加できる雇用を生み出し、働き続ける環境を創ることが健康につながる。
・エコロジカルで、高齢者が参加し、成長し続ける社会をプラチナ社会と定義し、実現を目指していく。
・今後の農林水産業は、大規模化や機械化を進め効率化する方向と、生産方法や品質にこだわり質的価値を追求する方向に二極化していく。
・東日本大震災後の東北は規制緩和が行われるため、新しい仕組みを創る機会を与えられた地域ともいえる。