政府の「食と農林漁業の再生推進本部」が10月に決定した農業再生に向けた「基本方針・行動計画」には、「若者が職業として魅力を感じる農業」「安心して生業にいそしめる農村」が『目指すべき姿』として示されている。
その実現に向け農水省は、2012年度予算の概算要求に戸別所得補償安定推進事業として、市町村が集落ごとの話し合いで、地域の中心となる経営体を決める「地域農業マスタープラン」の作成を盛り込んでいる。このプランは、青年就農給付金の支給や農地集積協力金の交付などの要件ともなっている。
そこで提案したい。このプランづくりの中で、「農業者年金」をしっかりと位置づけてみてはどうだろうか。
地域農業再生協議会における関係者と担い手とが話し合う中で、加入状況の確認や未加入者への加入推進なども必ず行うということだ。
老後の安心までを視野に入れて営農を展望することは、担い手の意欲の喚起と醸成につながる。「マスタープランづくりの中での『担い手のワークライフプランづくり』」とでも呼びたい。
農業者年金は認定農業者などに対する保険料の国庫補助という政策支援があり、特に若い層を中心に魅力となっている。営農開始時には青年就農給付金、営農継続中は戸別所得補償制度、老後の安心には農業者年金を位置づけることで、国の施策を活用した『家族経営の入り口から出口まで一貫的な支援』もできる。
また年金は、将来の担い手個人と地域全体の生活経済の下支えを約束するものである。農業者年金は、積立方式を採用する公的年金であるため、「確実性」を担保する意味からも、最も適しているといえる。
地域関係者すべてが、老後の安心までを話し合うプランづくりが、政府の『目指すべき姿』を実現するものと確信する。
[2011-11-25] 全国農業新聞