農村や漁村で太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電の導入を推進するため、農林水産省が新法の制定を検討していることが三日、明らかになった。発電設備の用地確保に向け、点在する耕作放棄地を集約する制度などを創設。再生可能エネルギー発電と農業などの両立を通じ地域振興を図る。今月召集の通常国会に法案を提出する見通しだ。
新法では、まず国が再生可能エネルギー促進の基本方針を策定。市町村は基本方針に沿って発電設備を整備する区域、農林漁業の強化に向けた取り組みなどを盛り込んだ基本計画を作成する。市町村は事業者、地権者、周辺住民らの利害調整で協議会を設置することもできる。
事業者は再生可能エネルギー発電の整備計画を市町村に申請。認定されれば、優遇策を受けられる仕組みだ。
耕作放棄地の集約では市町村が農地の所有権、賃借権を一括して移転できるよう特例措置を設ける。民法では農地の売買などは所有者らが直接取引する必要があり、所有者ごとの思惑の違いで農地をまとめるのが難しい実情に対応する。
また、農地転用など本来の目的と異なる土地利用の手続きは、さまざまな法令にまたがり、煩雑さが指摘されている。このため、市町村から認定を受ければ、農地法や森林法、漁港漁場整備法などで一括して許可されたとみなすことができるようにする。農山漁村での再生可能エネルギー発電に関する規制の手続きを、ひとつの窓口で完了できる態勢も構築する。
【東京新聞2012年1月4日】
◆再生可能エネルギー(Wikipedia)