株式会社シナダ
山崎 彬(工学博士)
越後製菓 株式会社 代表取締役会長、
H・P(高圧)未来産業創造研究会会長
本装置は、HP(高圧)未来産業創造研究会における活動及び新潟県地域結集型研究開発プログラム「食の高付加価値化に資する基盤技術の開発」における研究をきっかけとして開発されたものです。ここでは100MPa以下(この装置の限界圧力)で有効な高圧処理の利用について述べます。
魚介類、畜産類のたんぱく質に対し、内在酵素または酵素添加により反応の促進が計れます。この効果として、酵素分解によって基質であるたんぱく質がアミノ酸に分解され、旨味成分の増加が確認されています。この場合、高圧状態を維持しながら最適温度で分解を促進すれば時間の短縮化が図れます。また牡蠣、アサリ、ハマグリ、シジミ、などの二枚貝は100MPa(40~60℃)程度で綺麗に脱穀できます。さらにエビ、シャコ、カニなどの甲殻類や亀の甲羅も脱穀し易くなります。
100MPa以下での殺菌効果は、グラム陰性菌の大腸菌、サルモネラ、シュードモナス、レジオネラ、等の各菌種で一定の効果が見込まれます。但しウィルスや酵母の殺菌は300MPa、カビや乳酸菌、枯草菌の殺菌では400MPa以上が必要で圧力での完全殺菌は難しいのです。また植物の種子の発芽促進には100MPa以下で効果が認められています。
熱と圧力を併用した各種食品の調理方法の開発は、非常に有望な分野です。漬物や調理食品の味付け時間の短縮化、加熱による煮崩れ防止の条件、繊維含有食品(タケノコ等の根菜類)の調理方法は、今後、開発する必要があると考えられます。
皆様の工夫により、新しい利用方法が提案されることを願っています。
http://kk-shinada.jp/mp.htm
「高圧処理装置」を貸し出します
http://www.nico.or.jp/modules/news/article.php?storyid=620