「農学栄えて農業滅ぶ」という言葉がある。それどころか「農業問題」と言われるものの本質とは「農業関係者問題」だと筆者は思っている。農業関係者の居場所作りのために農業問題が創作され続け、その対策と称する農村政策が日本農業のイノベーションを妨げてきたのである。その思いは、今回のオランダ旅行を通してより強く感じた。
先にも書いたが、オランダでは1970年代の中頃に普及機関の民営化が始まり、現在、農業への技術指導は民間のコンサルタントによって担われている。その結果が現在のオランダ農業の強さ、健康さを実現させたのである。
当初は技術指導が民間事業として有料になることへの反発もあったらしい。しかし、有料の民間事業であればこそ指導を受ける事業者(農家)はその経済的有用性を問う。経営効果を上げる指導のできないコンサルタントは淘汰されていくのである。先端的な技術や経営ノウハウを我が物にする努力のない農業経営者も同じだ。コンサルタント間の競争がオランダ農業を成長させたのだ。技術レベルの高い小規模農家がコンサルタントに転業するケースもあるそうだ。
http://agri-biz.jp/item/detail/7450